浄土真宗本願寺派 瀧上山 善立寺

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住職の法話

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セーフティネット(安全網)

 昨年の十月より、社会福祉主事の認定資格を取得する為、通信教育を受けています。当寺は宗教法人でありますが、昭和四十五年、前住職が境内に社会福祉法人、大石保育園を開園しました。現在は、幼保連携型認定こども園として、前坊守が園長を務めており、私も事務職をしています。そこで、今後、必要となる社会福祉についての勉強をしています。

 社会福祉とは、すべての国民を対象に、社会保障、社会的援助、包括的なサービス等を行い、社会的弱者を救済していく制度です。そのような勉強をしていく中で、社会福祉の取り組みと、仏教の教えは、相通じるところが多いように感じました。

 福祉の根底にある基本的な理念は、人間の尊厳であり、基本的人権の尊重です。そして、仏教は、いのちの尊厳のもと、平等、助け合い、認め合い、自他共に生きる道、そして、いかなる者にも救いがあることが説かれています。

 社会保障制度では、サーカス等で使われる、落下による怪我を防止する安全網に由来する、「セーフティネット」という言葉が使われ、第一、第二、第三のセーフティネットというのがあります。つまり、二重三重にネットを張り、すべての国民をもれなく救済しようという制度です。いかなる人にも生きる権利があり、社会保険、生活再建、生活支援、生活保護等の必要性を学ぶことができました。

 しかし、仏教で生活困窮者を経済的に救済することはできません。また、社会保障の分野で、人間の根本的な苦脳の迷いを救済することはできません。では、何故、仏教と社会福祉は通じるものがあると感じたのかと言うと、それは、いかなる人も排除しないという点です。仏教も社会保障制度も、必要な人に対して、差別することなく与えられるからこそ、あまねく救済することが可能になるのではないかと思います。

 以前、善立寺だよりに、阿弥陀(あみだ)如来(にょらい)は摂取不捨(せっしゅふしゃ)の仏さまであることを書きました。すべてのものを摂(おさ)め取(と)って捨てないと、はたらいてくださっている仏さまです。私達は、その存在に出遇(であ)うことによって、生きる勇気を得ることができます。人生では、どんなに頑張ってもどうにもならないことがあります。失敗して落ち込むこともあります。しかし、阿弥陀さまのお喚(よ)び声、「我(われ)にまかせよ」との仰せに、この身を委(ゆだ)ねる時、そこから出直していけるのです。

 煩悩成就(ぼんのうじょうじゅ)の凡夫(ぼんぷ)であるが故に、苦脳の迷いが無くなることはありませんが、行き詰まらなくて済む世界が開かれてくるのです。南無阿弥陀仏と念仏し、安心の中に生きていけるのです。更には、いのちの行く末も保障されています。この世の縁が尽きた時、必ず浄土(じょうど)へ迎えとると約束されています。これは、仏教における、「セーフティネット」と言ってもいいのではないでしょうか。

 そんなことを考えながら、通信教育の課題に取り組んでいます。そして、今年の三月、神奈川県の三浦郡葉山町にある中央福祉学院へ、五日間のスクーリング面接授業に行ってきました。仕事を離れ、授業に専念して勉強できることは、こんなに楽しいことだったのかと思いました。

 また、夕方には授業が終了し、後は自由に過ごせるのも、普段できないことであり、受講生の仲間と横須賀の夜の街、「どぶ板通り」(アメリカ海軍の方々で賑わう酒場)へ行き、アメリカンなバーで、お酒を楽しむこともできました。

(住職 松岡文昭)